地下水くみ上げで地震発生
【10月22日 AFP】スペイン南東部ロルカ(Lorca)で2011年5月11日に起きたマグニチュード(M)5.1の地震は、大規模な地下水のくみ上げが一因だったとする研究論文が、20日の英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された。
ロルカの北東2キロ地点を震源とするこの地震では9人が死亡、100人以上が負傷し、数千人が家を失った。一帯はスペイン国内でも地震の多い地域で過去500年間に中~大規模な地震が多発しているが、前年5月の地震は規模がそれほど大きくないにもかかわらず被害が大きく、地震学者たちを驚かせた。
カナダのウエスタンオンタリオ大学(University of Western Ontario)のパブロ・ゴンザレス(Pablo Gonzalez)氏率いる研究チームは、なぜこの地震で大きな被害が出たかの解明に取り組み、震源の深さがわずか3キロと非常に浅く、地震の衝撃波が勢いを失わないまま瞬時に地表に到達したことを突き止めた。
さらに、震源となった断層は近くの帯水層から地下水が大量にくみ上げられたことで地層が破壊され、地下で力の連鎖反応が起きていたことも分かったという。
■水位低下で地盤沈下、断層への圧力強まる
研究チームはまず、欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)の地球観測衛星エンビサット(Envisat)の地下レーダー画像で地震後のロルカ周辺の地形の変化を調べ、アラマ・デ・ムルシア(Alhama de Murcia)断層で地震が起きたことを確認した。同断層は地震で5~15センチほどずれていた。
次に、この断層の南方5キロに位置するアルト・ガダレンティン(Alto Guadalentin)帯水層を調査し、地下水のくみ上げによって地下で地盤沈下が発生していたことを示すさまざまな証拠を発見した。この帯水層では1960年~2010年の間に水位が少なくとも250メートル低下していたことも、地元の井戸の調査記録から分かった。
研究チームはこれらの情報を総合して、地震の発生メカニズムをコンピューター・モデル化。それによると、まず帯水層の水位低下によって震源となった断層に隣接する地層が崩壊。このため地層が「弾性反発」を起こし、断層に強い水平方向の圧力がかかって、地震が起きる可能性が高まっていたという。
シェールガス採掘や採石、地下水くみ上げといった人間の活動が地震発生原因となり得ると指摘する学説は以前からあるが、ロルカの地震はその事例の1つといえると研究者らは指摘している。(c)AFP



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