贈与という不安

贈与が果しているもっとも大切な機能は、財そのものの交換や、モノの流通それ自体ではない。それは「人と人を結びつけること」である。「贈物を受取るということ、さらにはなんであれ物を受取るということは、呪術的にも宗教的にも、倫理的にも法的にも、物を贈る側と贈られる側とにある縛りを課し、両者を結びつける」。贈り物は理由無く受け取りを拒むことはできないし、受け取った贈り物になんのお返しをしないでいることもできない。モースによれば、それこそが贈り物を受取ることに対して私たちが今日でも依然として喜びと同時に不快を感じずにいられない理由である。
山田広昭「可能なるアナキズム マルセル・モースと贈与のモラル」2020年 より。
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