「縁起」の理法と新石器社会の原理
そのことは仏陀の教えのすみずみにまでいきわたっている。仏陀は「縁起」の理法を説いた。孤立した事物というものはなく、あらゆ相違創刊相依相関しあいながらつながりあっていて、世界は全体運動をしている。個物は一つ一つが自立しているが、縁起によってつながりあっているのであるから、個物に「これ」とか「あれ」の体体はない。実態と思えるものは幻影である。「私」というものでさえ実体をもたない。「私」がないのだから「対象」もない。もともとないものに人間は執着して、苦しんでいるのである。
ここには高い精神的次元に移されて再構成し直された、新石器社会の原理を再発見することができる
中沢新一「構造の奥 レヴィ=ストロース論」2024年より。
この記事へのコメント