分業の効果と限界

アダム・スミスの最も偉大な洞察は「見えざる手」を発見したこと以上に、分業の効果と限界について分析を行ったことであるという。というのも、スミスは、分業を進めることは人間にとって致命的とも言える現象を増大させることにも目配りを怠っていないからである。

精神が麻痺してしまうため、理性的な会話を味わったり、その仲間に加わったりすることができなくなるばかりか、寛大で高尚な、あるいはやさしい感情を何一つ抱くこともできなくなる。

平川克美「株式会社の世界史-「病理」と「戦争」の500年」 東洋経済新報社 2020年 より
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